この記事は講談社発行『週刊少年マガジン』で連載中お「甘神さんちの縁結び」の8巻の感想を書いたものです。
前巻では、瓜生が甘神神社を出ていくかと思いきや、跡継ぎになることを決意したり、
また夕奈との“入れ替わり”が始まったりと、盛り上がる展開が多めでした。
今巻では“入れ替わり”のお話も終幕となりそうですが、どんな締めくくりとなるのか気になる所です。
では、キャラ紹介も兼ねながら感想を書いていきます!
考察や伏線要素にも触れています(項目から飛べます)。
※8巻までのネタバレが含まれますので、先バレが苦手な方は戻ることをオススメします※
⇒【新ヒロイン白日の参戦が熱い⁉】
⇒【白日の想いが誰よりも強い⁉】
目次
キャラ紹介
今回 紹介する主要キャラは5名です!
上終 瓜生(かみはて うりゅう)
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/1巻引用
・概要
本作の主人公。
児童養護施設きせき園で育った。
医者になる事が夢あり、京都大学の医学部を目指す。
物語の冒頭では、
甘神(あまがみ)神社に受け入れられ、居候の身となった。
しかし、宮司(神主)には婿養子として迎え入れられ、三姉妹の内一人との結婚を迫られた。
神を信じていないリアリストの瓜生からすれば、神社を継ぐなど、もってのほかだったが、
しかし、甘神神社で過ごす中では、
未来視という名の予知夢や正夢を体験したり、
日付が繰り返されるタイムループを経験したり、
非現実的な現象に巻き込まれていく事になった。
更に、
“送り火(お盆で戻ってきたご先祖様を無事に返すために行う行事)”では、死んだはずの母を見て涙する事にもなった。
こうした体験を踏まえ、
瓜生は医者となって人の命を救うのも良いが、
神様に祈ったり願ったりして、人の心を救うことも重要だと考えるようになった。
こうして、瓜生は、
神社の跡を継ぐと決意した。
それはつまり、三姉妹の内 誰かと結婚する事であり、
こうして瓜生のハラハラドキドキの日常が始まったのであった。
甘神 夜重(あまがみ やえ)
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/3巻引用
・概要
甘神家の三姉妹の長女。
一番大人なのに子供っぽいと言われる。
しかし、当の本人は芸大生であり、デザインは勿論の事、他にも武術や長けており、
多岐にわたる才能を持つ。
幼少期には瓜生に救われた事もあって、瓜生に恋をしている。
将来的には瓜生と結婚し、神社を継ぐつもりでいる。
それまでには、
瓜生にいっぱいアプローチしないと、とも意気込んでいる。
甘神 朝姫(あまがみ あさひ)
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/2巻引用
・概要
甘神家の三姉妹の三女。
一番年下だが、子供扱いは好んでおらず、背伸びをしたがる。
そのため、小悪魔な誘惑が目立つ。
また、
最初は瓜生をからかっていたが、蔵に閉じ込められた時や、タイムループ事件では、
瓜生の頼りになるを見て、遂には恋に自覚することになった。
そして、瓜生の妹扱いを払拭するために、
花火の日には朝姫からキスもされた。
しかし手ごたえを感じていない朝姫は、
もう一度キスすればと意気込むのだった。
甘神 夕奈(あまがみ ゆな)
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/4巻引用
・概要
甘神家の三姉妹の次女に当たる。
素直じゃない性格で、瓜生とは良く喧嘩になる。
しかし、お人好しな所もあって、最終的には何だかんだ打ち解けている。
また、神社を守りたいという気持ちが人一倍強く、真面目で頑張り屋で遠慮しがちな性格でもある。
そのため、
何でも一人で抱え込み癖がある。
そのことを夜重や朝姫からも心配されている。
そして、今巻では、
神様のいたずら“入れ替わり”を通して、その真相に迫っていくことになる。
??
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/7巻引用
・概要
正体不明の“何か”で、狐のお面をしている。
度々 瓜生を巻き込んだトラブルを起こす。
今巻では、
瓜生がこの正体不明の“何か”と遭遇事になった。
そして、
これを夕奈に相談した所、「たぶん“神様”だな」と話されるのであった。
見所
ここからは個人的に面白いと思った見所を3つだけ紹介していきます!(他にもいっぱい見所はあります)
わがままだけはダメだ
本巻の見所はなんといっても、
夕奈の過去が明かされる
“入れ替わり”の続きにあります。
そもそも夕奈というと、
遠慮しがちな性格が目立つ人物で、
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/5巻引用
竹田の奢ると言ったコンビニ編でも、その性格が描かれていました。
結局、この時、夕奈は、
アイスが食べたかったんですが、
その気持ちを我慢して、天然水1本だけを奢ってもらって出てきています。
でも、結局は、その事を察していた瓜生が大量に買ったアイスをあげて、
それを夕奈が食べて大喜びしていましたよね(笑)
つまり、夕奈は気持ちを押し殺しちゃうタイプなんです。
この過去編では、そうなった理由が明かされるんですが、
これが切ない理由でした……
詳細は、夕奈の幼馴染のみつ子から語られましたが、
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/8巻引用
そもそも夕奈は甘えん坊でワガママな子だったんですよね。
もう本当にワガママで、
みつ子のお店に行った時には、食べちゃいけないと言われたお団子を勝手に食べて、
更には「もっと食べちゃダメ?」と言う程でした(笑)
普通なら叱られる場面ですが、あまりの可愛さに、許されていましたね。
しかし、母の甘神千陽が死ぬと夕奈は変わってしまいました。
というのも、
夕奈は、
自分のワガママがなかったら母はもっと楽が出来て、
今も生きていたんじゃないか?と思い悩むことになってしまったからです。
つまり、
夜重や朝姫からは“遠慮しがちな”な人に見えていた夕奈ですが、
そうなった原因は母の死と自分の性格を悔やんでいたためでした。
因みに夕奈は真面目過ぎて打たれ弱く、“落ち込みモード”になるシーンも描かれた事がありますが、
素直になれないのは、打たれ弱い心を守ろうとする防衛本能から来ている、とも言えるのかもしれませんね。
で…
自分のせいだと思っている夕奈ですが、実際はそんな事ないですよね。
母の千陽は夕奈のせいで自分がシんだなんて事はちっぽとも思っていない事でしょう。
それに気づかせるためにも、“入れ替わり”が起こったんじゃないかと思えます。
そしてここから先が本題で、
この先では夕奈の悩み事である、
夢について触れられることになります。
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将来やりたいこと
続いての見所は、
過去編で明かされた夕奈の夢です。
そもそも夕奈は人一倍神社を守りたいという意思が強く、
瓜生の跡継ぎ問題にも一番 噛みついていた神ですが、
実はこれも夕奈の夢と関係がありました。
そんな夕奈の夢とは…
それは、
甘神神社で宮司(神主)になる事でした。
そうして神社を今以上に盛り上げ、
お客様と神様に喜んで貰いたいと考えていました。
だからこそ誰よりも神社を守りたいという気持ちが強かったと分かります。
それは自分がお世話になった甘神千陽への恩返しの気持ちも込められていた事でしょう。
なお、この話しの際には、
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/8巻引用
「そのためのアイデアもいっぱいあるんだ!」
「やりたいことがたくさんあるんだ!」
と気持ちを爆発させていましたね。
しかし、現実は厳しいものでした。
古くから男性社会である神社界では、女性が宮司になる事は容易ではありませんでした。
更にそこに瓜生が跡継ぎに来た事で、そもそも夕奈の夢は奪われる運命にありました。
確かにこうなっては、元気もなくなりますよね。
この気持ちは、幼馴染のみつ子にすら隠していたわけですが…
しかし、ここからが主人公・瓜生の出番です。
瓜生は夕奈の気持ちを全部吐き出させるために、あえて夕奈を挑発しました。
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/8巻引用
それは、自分が宮司になった暁には、
まずは甘神家の三姉妹は全員 解雇してやる……
と、思ってもいないことを言ったりしました(笑)
夕奈はこれに逆上して、
「独裁者め」と言って、
絶対に私の方が上手く経営できると言って反論を始めます。
そうして最終的に、
「宮司になるのは私だ!」と宣言すると、また夢を追いかけることにした旨を語ったのです
えぇ…
全て、瓜生の思惑通りです(笑)
このようにして、瓜生は夕奈を元気づけた訳ですが、これには、2人を見ていたみつ子もニッコリでした。
でもここで注目したいのが、
瓜生が「ふん、やれるものならやってみろ」的な感じの事を言って終わっている事です。
つまり、あくまでは二人はライバル関係で話が終わっています。
しかし、これではラブコメ要素としては、惜しい所があります。
瓜生的にも健全に夢を追いかけて欲しいですからね。
でもご安心ください。
この後に描かれる文化祭では、
ちゃんと夕奈が瓜生にトキメク事になる展開が描かれることになります。
この入れ替わり編は、そこまで見てようやく(完)となるので、
ここまでは序章みたいなものです(笑)
文化祭
続いての見所は文化祭です。
瓜生と夕奈は同じ高校で同じクラスですが、
二人は演劇として『とりかへばや物語』のお芝居をする事になっていました。
これは、平安時代にあったお話で、内気で女性的な性格の若君と、
活発で男性的な性格の姫君が、
それぞれの性格を偽って互いに男装・女装する形で人生を過ごす物語です。
そうして、互いに苦難を乗り越え、成長していくお話です。
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/7巻引用
まさに“入れ替わり”のあった2人にピッタリな演劇でしたが、
演劇が行われるまでに描かれた、
瓜生&夜重と瓜生&朝姫のデートも面白いんですよね…
物語は、
①瓜生&夜重のデート
②瓜生&朝姫のデート
③夕奈、瓜生にときめくラストシーン
と流れていきますが、
どれも必見モノなので、
まだ見ていない方はぜひ自分の目でご確認してください。
こればかりは、実際に見る事をオススメしたいです!
考察&伏線要素
続いて、個人的に気になった考察や伏線要素についても触れていきます。
・神様の正体
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/6巻引用
まず触れたいのはこの“神様”とやらの正体です。
顔を隠している事から考えて、おそらく誰かの顔と似ています。
或いは既存キャラの誰かです。
そして、個人的に考えている候補は3つで、
①神様説
②甘神千陽説(三姉妹の育ての親)
③未来の夜重説
のどれかという感じです。
①はそのまま神様ってことになるので、特に説明もいらないと思うんですが、
②だと思う理由は、神様がやけに瓜生と三姉妹を繋げようとしている所からきます。
また今まで描かれた台詞的にも辻褄が合うものが多いです。
まず夕奈は、
夕奈「夜の伏見稲荷は最も神様の世界に近い と言われているからな 知っているか?仏教では人は死後 輪廻転生すると言われているが…神道において 亡くなった人は 神様になるんだ」(内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/6巻引用)
と、話していますが、
シんだ母がそのまま神様になった可能性は十分にあり得ます。
月神宵深子もこの甘神千陽にお世話になった人物ですが、
宵深子「あの方には私も大変お世話になりましたから きっとあの方のことですから 神様になられても 私たちのことを見守ってくださるでしょうね」(内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/4巻引用)
こんな発言もしています。
後は、月神宵深子が神様に話しかけるシーンもありましたよね。
「相変わらずいたずらが好きね」という会話です。
つまり、シんだ母・千陽は今も三姉妹を見守っており、手助けしているという事になります。
最後の③の未来の夜重説もシンプルです。
1巻のラストでは、
瓜生が階段から落ちていきましたが、
しかし、次の日に夜重に会ってみると、夜重はその階段での出来事を覚えていませんでした。
つまり、この夜の夜重は本来の夜重とは別人と言えます。
そして、階段から落ちる際には、厄除けの紐を千切る形で、走馬灯という名の未来視をしました。
仮にこれが夜重が要因となって起こったなら、
未来で何がどうなるか全て知っている未来の夜重の記憶を盗み見たという事になるので、
辻褄も合ってきます。
ただ、未来から夜重が来たというよりは、【月夜の夢見る虹】の時みたいな、
伝説に立ち会ったという方が「甘神さんちの縁結び」の作品らしいとは思います。
なので、神様の正体は大まかに分けると、
①神様説
②甘神千陽説
③未来の夜重説
の三つを考えていますが、
現状は②が濃厚かなって思っています。
③だった場合でも面白そうなので、ワンチャンありかなという感覚もあります。
これは、今後の真相発表に期待ですね。
・舞昼と北白川の関係
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/8巻引用
続いてはこちらの伏線です。
BBQの回では、
北白川ことみーくんが、舞昼と知り合いだったことが明かされました。
しかし、北白川は舞昼に会うなり、ビビッて逃走していきました…(笑)
で、現状だと、この2人と似た男女関係って実はあって、
それが瓜生と竹田真の関係です。
竹田は瓜生が唯一 苦手意識を持った女子です。
竹田「理解した?未来の後輩」
瓜生「…はい 未来の先輩(俺この人 苦手かも…)」(内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/8巻引用)
今後は、大学生になるにあたって後輩になる事にもなりますが、その苦手意識が払拭されないなら、
引き続きイジワルされることになると考えられます。
この関係性がこの時 描かれた北白川と舞昼とピッタリなんですよね。
そして、舞昼は京都大学の医学部だったそうですが、
舞昼「京大の医学部目指してるのも私の真似っこなのよ」(内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/1巻引用)
整理すると、
当時 舞昼が学生だった頃に、北白川は後輩か同級生で、イジワルされた過去がある。
だから、北白川は昔を思い出してビビッて逃走した……
みたいな事になるのかな~と思いました。
イジワルの内容は、
舞昼がドSっぽい雰囲気があるので、
医学部だった事もあり、
薬の実験台とかにされたのかな~?なんて一つ思っています。
そうなると北白川はその度に腹や体調を崩していた…とかなりますかね…(笑)
何しても、こちらの関係性も引き続き注目ですね。
⇒【新ヒロイン白日の参戦が熱い⁉】
⇒【白日の想いが誰よりも強い⁉】
感想
ということで8巻は、
夕奈がメイン回でしたが、神様の正体にも触れられたり、
夜重や朝姫もちゃんと活躍してるので、
全体的にバランスが良かった回だなと思いました。
他にも面白いシーンはいっぱいあって、“入れ替わり”状態での学校生活や日常生活とか、
その中では瓜生が「舞」を覚えたりとかで、
見所は満載でした。
・結婚相手
で、まあ一番のメインテーマは、
誰と結婚するかって話ですが、
内藤マーシー先生/甘神さんちの縁結び/3巻引用
「甘神さんちの縁結び」の場合は、
全員と結婚する可能性があるので、
そこが本作の醍醐味であり、面白みですよね。
1人だけとなると、悲しみを覚えるキャラが出てきちゃいますが、
全員となれば、全員ハッピーエンドな終わり方が出来ます。
一夫多妻って事になりますが、羨ましいったらありゃしないですね……(笑)
しかも、大学生、高校生、中学生と年代も丁度いい具合に分かれてますし、
もう男のロマンが詰まっています。
むしろ、医者になる夢なんてもうどうでもよくねーか?ってくらい良い条件です(笑)
ただまあどうでしょう?
強いて一人だけ選べと言われれば、
現状は幼少期から関係のある夜重が一番 相性は良いのかなとは思っています。
夜重は瓜生に救って貰って、人生を変えられた過去もありますからね。
これほどにロマンチックな関係はそうないでしょう。
ではでは、
引き続き「甘神さんちの縁結び」がどうなっていくかに期待です!
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